令和8年度第1回児童部会を開催しました
令和8年7月1日(水)、県総合社会福祉会館「シズウエル」において、令和8年度第1回児童部会を開催しました。
当日は、県内各地の育成会から児童部会委員が出席するとともに、静岡県障害福祉課、静岡県教育委員会義務教育課及び特別支援教育課の担当者にご出席いただき、障害児支援や特別支援教育の現状、県の取組について説明を受けた後、活発な質疑・意見交換を行いました。
当日の次第はこちら(PDF:205KB)です。
出席者:
静岡県手をつなぐ育成会 小出隆司会長
沼津市 佐野靖子さん
富士宮市 堀内亜紀さん
三島市 山本梨佐さん
静岡市静岡 鈴木昭子さん
静岡市清水 望月秀美さん
焼津市 深津正美さん
浜松市浜松 鈴木歩美さん
浜松市浜北 西田まり子さん
静岡県障害福祉課 青井俊太さん
静岡県教育委員会義務教育課 細井道浩さん
静岡県教育委員会特別支援教育課 山下憲市さん
「子どもの半歩先を歩く」ために
開会にあたり、小出会長から、令和8年7月26日で相模原市の障害者施設で起きた事件から10年を迎えることに触れ、「障害のある人もない人も、ともに安心して暮らすことのできる共生社会の実現は、育成会にとって大切な使命である」との挨拶がありました。 また、障害のある子どもたちには、成長の過程や卒業後の生活に関わるさまざまな制度や福祉サービスがあることから、保護者自身が制度について学び、「子どもの半歩先を歩きながら、その成長や将来を支えていくことが大切」と話しました。
続く自己紹介では、部会委員から、子どもの学校生活や進路、実習、不登校から学校生活を取り戻した経験、地域による教育環境の違いなど、それぞれの近況や課題が報告されました。
<障害福祉を取り巻く現状について>
静岡県障害福祉課からは、知的障害・発達障害のある方への支援、強度行動障害への支援、児童発達支援、障害児入所施設から成人期への移行などについて説明がありました。 療育手帳については、静岡県では重度のA判定と中軽度のB判定があり、特にB判定の所持者がこの10年間で大きく増加していることが報告されました。また、静岡県では、一定の条件のもと、発達障害の診断がある方もB3として療育手帳の対象としていることについて説明がありました。 県内の特別支援学級や特別支援学校に在籍する児童生徒も増加しており、特に特別支援学級の在籍者数は10年間で約1.7倍となっています。 発達障害への支援については、県内4か所の発達障害者支援センターを中心に、相談支援や人材育成、関係機関との連携を進めていることが紹介されました。また、発達障害の診療や心理検査が可能な医療機関についても調査・公表を行っているとの説明がありました。 強度行動障害のある方への支援については、支援者養成研修を継続して実施し、支援手順書を活用しながら、支援者がチームとして統一した支援を行うことの重要性が説明されました。 児童発達支援については、県内に28か所の児童発達支援センターがあり、身近な地域で相談や療育支援を受けることができる体制づくりを進めていることが紹介されました。 さらに、障害児入所施設を利用している方が18歳を迎えた後、成人の障害福祉サービスへ円滑に移行できるよう、「障害児等移行調整会議」を設置しており、静岡県では現在、18歳を超えても移行先が決まらない方を出さない取組が進められているとの説明がありました。
<特別支援学級や通級指導の増加と教員研修>
静岡県教育委員会義務教育課からは、小・中学校における特別支援教育や不登校支援などについて説明がありました。 県内の小・中学校では、特別支援学級や通級による指導を受ける児童生徒がこの10年間で大きく増加しています。また、通常の小・中学校に通う医療的ケア児も増えており、一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援体制の整備が求められています。 こうした状況を踏まえ、県では、特別支援学級を初めて担当する教員や経験の浅い教員、通級指導教室の担当者などを対象とした研修を実施しています。さらに、通常学級の担任や特別支援教育コーディネーターを対象とした研修も拡充し、教員の専門性向上に取り組んでいるとの説明がありました。 また、「支える生徒指導」を基本に、すべての子どもが自分らしく安心して過ごせる学校づくりを進めており、「居場所づくり」「絆づくり」に加え、社会性や自己調整力などを育てる「静岡県版SEL」の活用も進めています。 不登校支援については、学校や公的機関だけでなく、県内のフリースクール等との連携を進めるとともに、オンライン上で学びや交流の機会を提供する「静岡バーチャルスクール」の取組についても紹介されました。
< 特別支援学校のセンター的機能や学校整備>
特別支援教育課からは、特別支援学校が持つ専門性を地域の小・中学校等の支援に生かす「センター的機能」について説明がありました。 特別支援学校の教員が地域の学校を訪問し、児童生徒への支援方法について助言したり、教員研修に協力したりする取組をさらに活用してもらうため、具体的な活用事例をまとめたリーフレットを県内の学校に配布したとのことです。 また、学校外での体験活動を学びとして位置付け、平日に保護者と活動しても欠席扱いとしない「ラーケーション」について、令和8年度は一部の特別支援学校で先行実施し、10月から県立特別支援学校全校での導入を予定していることが紹介されました。 県立特別支援学校の整備についても説明があり、令和8年度には新たな学校や分校が開校したほか、今後も地域の児童生徒数や教育ニーズを踏まえた学校整備を進めていくとのことでした。
<保護者の立場からさまざまな課題を提起>
行政説明後の意見交換では、部会委員から、子どもたちや家族が直面しているさまざまな課題について率直な意見が出されました。 特に大きな課題として挙げられたのが、放課後等デイサービスのいわゆる「18歳の壁」です。 18歳を迎えると、原則として放課後等デイサービスの利用を終え、生活介護など成人の障害福祉サービスへ移行することになります。しかし、特別支援学校高等部には18歳を超えて在学する生徒もおり、卒業までの間、放課後や長期休暇中の居場所が十分に確保できないケースがあります。 成人の福祉サービスは、学校に通いながら利用することを前提としていない場合も多く、保護者が仕事を続けられなくなるなど、家庭生活に大きな影響を及ぼすこともあります。 部会からは、制度上は一定の特例があるものの、実際には利用できる事業所が少ないことから、「実態に合った制度となるよう、県からも国に改善を働きかけてほしい」との要望が出されました。 また、特別支援学校や分校の学区について、保護者や関係機関に十分に情報が伝わらず、進学先をめぐって混乱が生じた事例も報告されました。県立特別支援学校と市町教育委員会との一層の情報共有を求める意見が出されました。 高校進学の「選択肢の狭間」にいる子どもたち 意見交換では、中学校卒業後の進路についても多くの意見が交わされました。 知的障害の程度や判定によっては特別支援学校高等部の対象にならない一方、読み書きや集団生活などに大きな困難を抱え、一般の高等学校で学ぶことにも難しさがある子どもたちがいます。 こうした子どもたちの中には、通信制高校や定時制高校を選択するケースも多く、「本人の特性に応じて安心して学ぶことのできる高校段階の選択肢が十分ではない」との声がありました。 今後開設が予定されている「学びの多様化学校」など、新たな学びの場への期待も寄せられました。 家庭と学校が「同じ方向」を向いた支援を 家庭と学校の連携についても意見交換が行われました。 保護者からは、「親の希望を伝えるだけではなく、子どもを日々見ている先生がどのように考えているのかも率直に聞きたい」との意見がありました。 一方、教育関係者からは、学校での支援をより効果的なものとするためには、家庭での子どもの様子についても共有してほしいとの話がありました。 また、「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」について、単に作成するだけではなく、その目的や将来像を家庭と学校が共有することが大切であり、学校だけでなく家庭や地域も含めて、一貫した支援を行っていく必要があるとの意見が出されました。 特に、現在の学校生活だけを見るのではなく、「卒業後にどのような生活を送ってほしいのか」という将来の姿を見据え、そこから逆算して今必要な支援を考えていく「未来志向の支援」の重要性が確認されました。
今回の児童部会では、行政から最新の制度や取組について説明を受けるだけでなく、保護者が日頃感じている疑問や課題を直接行政に伝え、意見交換する貴重な機会となりました。 今後も静岡県手をつなぐ育成会では、行政や教育関係機関との連携を深めるとともに、当事者や家族の声を届けながら、障害のある子どもたちが地域で安心して学び、成長し、将来にわたって自分らしく暮らしていくことのできる共生社会の実現を目指してまいります。










